ブラスト加工には種類があるのをご存じですか?サンドブラスト・ショットブラストなど!

ブラスト加工とは、研磨材を噴射して製品表面を加工する工業技術のことです。じつはブラスト加工にはサンドブラストやショットブラストなど、いくつかの種類があります。ブラスト加工で出来ることや出来ないこと、ブラスト加工の用途について詳しく解説していきます。

ブラスト加工には種類があるのをご存じですか?出来ること出来ないこと、用途を詳しく解説します!

サンドブラストやショットブラスト、ウェットブラストなど「ブラスト」と名前のつく工業技術は共通した加工目的があります。それが「研磨材を製品や製品表面に投射して加工を施す」という目的です。 巷ではサンドブラストとショットブラストは同じ加工方法であると認識されていますが、じつは大きな間違い。同じブラスト加工ではありますが、業界の定義でいうと、まったく別のブラスト加工にあたるのです。 ここでは、ブラスト加工で出来ることや主なブラスト加工の種類と用途、弊社で行なっているサンドブラストについて解説していきます。

「ブラスト加工」とはそもそもどんな加工方法なのか?

サンドブラストやショットブラストなど「ブラスト」と名前の付く加工方法のことを「ブラスト加工」もしくは「ブラスト工法」と呼んでいます。それぞれ同じ「ブラスト加工」なのですが、工法によって細かく分類されているのです。 ブラスト加工は大きく分けると2つに分類されます。
● エアー式 ● 機械式 
エアー式というのは、主にサンドブラストなどに使われている工法(しくみ)で、圧縮された空気に研磨材をのせ、製品に噴射して加工を行うことです。投射力は圧力に依存します。
機械式とは、バッティングセンターのピッチングマシーンのように、インペラーと呼ばれる羽根車の回転で研磨材をとばし、製品の対象部に打ち付けて加工を行なう工法のことです。ショットブラストはこの「機械式」に分類されます。 エアー式も機械式も加工の目的は『製品表面に研磨材を打ち付けて加工を施すこと』です。

ブラスト加工のトリビア

エアー式ブラスト加工の代表ともいえるのが「サンドブラスト」です。サンドブラストは1870年にアメリカの技術者ティルマン氏(B.C.Tilghman)が考案しました。それまでのブラスト装置に金剛砂を噴射する機構を加えたことで「サンドブラスト」と名付けられました。1870年というと翌年に廃藩置県が行なわれた時代です。エアー式ブラスト工法のサンドブラストは、日本がまだ「藩制」だった時代に誕生していたのです。 サンドブラスト誕生から100年以上がたち、ブラスト装置や研磨材は進化を続けています。現在では超精密製品や日用品、衣服に至るまで、さまざまなものがサンドブラストによって加工されているのです。

主なブラスト工法の種類

大別するとエアー式ブラストと機械式ブラスト。この2種類に分類されます。ここでは主だったブラスト工法について簡単にご紹介します。

エアー式ブラスト

エアー式ブラストは圧縮された空気に研磨材を乗せて噴射するブラスト工法です。自動型、手動型があり、研磨材を選びません。機械式に比べ投射力が強く、投射する製品の形状も幅広く対応できます。また製品の射分けができるなど自由度が高いのが特徴です。

機械式ブラスト

機械式ブラストは空気ではなく、動力につながれた羽根などの発射装置を介するブラスト工法です。使用できる研磨剤の種類が少なく、投射力が弱いためエアー式に比べるとアンカーパターンが浅い。投射できる製品の形状にも制限があります。但し基本的には全自動設備で作業者の感覚に左右されず、安定した処理が可能です。また投射の羽根を増やすことで処理時間も早いのが特徴です。

ブラスト加工で出来ること出来ないこと

ブラスト加工はエアー式でも機械式でも、加工の目的は一緒です。研磨材を製品にぶつけて表面に加工を施すことです。加工上、どんな形状でも処理することが可能ですが、できないこともあります。 ブラスト加工は「研磨材をぶつけて意図的に製品表面に傷をつける加工」です。そのため、油分や粘度のある樹脂や液体の処理は不可能な場合があります。 また、ブラスト加工の特性上、加工が難しい、もしくは加工できても時間やコストがかかるという場合もあります。たとえばメッキの上からのブラスト加工や特殊な表面被膜の除去は素材によって難しい場合があるのです。OKAGAKIでは、ご依頼前に加工対象製品の素材を確認の上、テストブラストを行ない、加工に必要な見積もりをお客様と一緒に作成いたします。難しいから加工はムリだろうなと判断せず、まずは弊社までご相談ください。

主なブラスト加工の用途

ブラスト加工はさまざまな用途に使われています。ここでは一般的に主なブラスト加工の用途についてご紹介します。
● クリーニング ● 下地処理 ● 梨地加工 ● フロスト加工 ● バリ取り ● ピーニング ● 彫刻・工芸

クリーニング

金属素材の製品表面を清浄化する目的でもブラスト加工は使われています。金属表面の清浄化とは、サビやスケール(酸化被膜やカルシウムなど)を剥がす加工です。金属関連の異物以外にも、古くなった塗装(塗料)や鋳物・精密鋳造で発生する砂、熱処理後に炭化した表面など、さまざまな異物を剥離するのがクリーニングです。 特殊な薬品などを使って剥離することも可能ですが、それだと健康被害や公害の原因になる可能性もあります。ブラスト加工ならば、粉塵対策さえしておけば、薬害などのリスクを限りなくゼロにできます。

下地処理

塗装や製品表面へのパーツの接着などには、密着力が重要になります。ブラスト加工で研磨材を製品表面に投射することで凹凸(アンカーパターン)が生まれ、密着時のアンカー効果を発揮して密着力を高めるのです。塗装に限らず、コーティングやライティング、ほうろうやフッ素樹脂加工にも「前処理」としてブラスト加工を施すことがあります。

梨地加工

日本梨の外皮のような加工を施す方法です。保油性の向上や防眩(光の反射を防ぐこと)加工、すべり止めやキズ隠しなどに応用されることが多いです。製品によっては逆にすべりを良くする加工も可能。製品表面のテカリを消して、高級感を持たせるなどの効果もあります。

フロスト加工

フロストとは「霜」のことです。白く曇らせる加工がフロスト加工です。曇りガラスが有名ですね。もともとは薬品でガラスを曇らせていましたが、薬害や公害の原因にもなる可能性があるため、徐々にブラスト加工で行なうことが多くなってきた加工法です。

バリ取り

バリとは鋳込みやプレス機加工の際、角や面の部分がはみ出してしまっている「ゴミ」の部分を指します。ダイカストバリや切削バリ、樹脂成型バリなどもブラスト加工でキレイに除去可能です。バリの製品素材によっては鋭く尖っているものもあるため、手作業では怪我の危険性もあります。ブラスト加工であれば、直接手を触れることなく、バリ除去ができます。

ピーニング

無数の球状の投射材を高速度で金属表面に衝突させることで、表面層に付与された圧縮残留応力が疲労強度の向上、耐摩耗性の向上、耐応力腐食割れ特性の向上、流体抵抗の減少等の効果をもたらす。バネ、歯車、溶接部などに利用されます。 彫刻・工芸 微細な研磨材を使って彫刻や工芸品の作成もブラスト加工では可能です。ガラスのコップなどに名入れを施したり、木片の彫刻などにも使われています。

岡垣興業㈱ではエアー式ブラスト加工のご相談を承ります

岡垣興業株式会社ではエアー式ブラストである『サンドブラスト』を行なっております。「こんな加工ができないか」というご相談だけでも問題ありません。単品から量産が必要な大量ロットなど、さまざまなご要望にお応えいたします。