サンドブラストとは研磨剤を吹き付ける加工法のこと!

サンドブラストとは、錆取りや塗装剥がし、工業製品の下地処理などに使われる工業技術のことです。下地処理以外にも用途が幅広い工業技術で、IC関連やアートの分野にも使われています。

サンドブラストという名称は「サンド(Sand:砂)」と「ブラスト(Blast:一吹き・突風など)」いう意味を指しています。サンドブラスト加工技術がどんな技術なのかご紹介します。

サンドブラストとは研磨剤を吹き付ける加工法!

サンドブラストとは、簡単に説明すると研磨剤を圧縮した空気に混ぜ、製品表面に高速で吹き付けて加工を行う工業技術です。製品や用途によって使い方が異なります。どの使い方であっても吹き付けを行なう「研磨材」が必要です。

サンドブラストのサンドは「砂」を意味しています。砂(サンド)が風(ブラスト)で飛び、その細かい衝撃によって岩が削れていく様子から発明されたという説が有力です。実際の作業もコンプレッサーで圧縮した「風」で研磨を噴射して加工がなされます。

サンドブラストの加工目的とは?目的によって方法も変わる!

岡垣興業株式会社のサンドブラスト(略ブラスト)加工では4つの方法がメインで使われています。

加工方法
• 粗す(あらす)
• 削る
• ボカす
• 磨く

サンドブラスト加工方法1:粗す(あらす)

ブラスト加工の「粗す」とは、主に「エッチング」という化学薬品の腐食作用を利用した表面加工の技法で使われます。

「エッチンググラス」などが有名です。ガラスにブラストを使って絵柄を掘り、薬品によって表面を加工するという工程によって、立体的な絵柄が浮き出すという仕組みです。昭和時代に流行した「すりガラス」もエッチングによって加工されています。

金属製のパーツを接合する場合にもブラストの「粗す」が使われます。接合部分を粗すことで、接着時の安定性を高める効果があるのです。

サンドブラスト加工方法2:削る

ブラストが考案されたとき、そもそもの目的は対象物を「削る」ことでした。細かい砂を対象物に吹きつけて表面を滑らかにする。彫刻や造形で使用される「サンドペーパー」もブラストの「削る」と同じ仕組みです。

サンドペーパーは砂が付着している粗い面を製品に押し当てて削り落とします。ブラストは、砂を対象物に吹きつけて削り落とすのです。

そのほかにも金属の錆取りにも使われています。タンカーの海水による錆やバイクのタンク内の錆などもブラストの「削る」によって錆落としがされています。

サンドブラスト加工方法3:ボカす

サンドブラストの「ボカす」は、主にアートで使われることが多い技法です。絵柄と絵柄の継ぎ目などにグラデーションを入れる方法として「ボカす」が使われます。絵柄に濃淡がつくことで、デザインに優しさやあたたかさがプラスされるのです。
電子部品なども反射を抑えるために表面をボカす加工が用いられます。

サンドブラスト加工方法4:磨く

金属製品などの表面を加工する上で重要なのが「磨く」ことです。磨くとは、こすってツヤや光沢を出すことです。錆落としでサンドブラストを行なったとしても、そのあとには必ず塗装などの新しい加工が必要になります。

製品の表面をさらに粒子の細かい投射材で磨くことによって、加工の次の工程がしやすくなるのです。製品の最終的な仕上げという部分でも「磨く」サンドブラストは使われています。

サンドブラストの投射材とは?加工する製品によって使い分けられる!

サンドブラストが誕生した当時は、珪砂と呼ばれている石英(二酸化ケイ素が結晶化した鉱物)を投射材として使っていました。しかし珪砂は石綿被害と同じ「じん肺」(※石綿は石綿肺と区別します)になる可能性が高いと言われ、国際基準であるISOから外されました。
2016年にはJIS規格からも外されており、現在サンドブラストで使われている投射材には、じん肺被害の少ない素材が使われています。

そもそも珪砂はサンドブラストが誕生した当時に使われていた研磨材です。テクノロジーの進化によって、珪砂以外の研磨材を使うことも多くなってきました。研磨材には主に次の3種類があります。

研磨材の分類
• 金属系
• 非金属系
• その他

研磨材の種類1:金属系

金属とひとくくりにしていますが、さらにこの金属系から金属の種類ごとに用途が異なります。金属のワイヤーを細かく切断して作られた「カットワイヤー」や鋳鉄、鋳鋼のボール形の粒子である「スチールショット、スチールビーズ」などが『鉄系』と呼ばれている研磨材です。

ボール形ではなく、グリット形(鋭角)の研磨材もあります。材質だけではなく、研磨材となる粒子の「形」や粒子の「サイズ」も用途によって分類されています。

鉄系以外の金属研磨材には

• アルミ
• 亜鉛
• ステンレス

などがあります。鉄系と同じように用途によって粒子の形が異なります。

金属系研磨材の主な用途は「バリ取り」や「スケール落とし」です。それ以外にも「エッチング」などにも使われる凡庸性の高い投射材です。

弊社では、テストブラストの段階でお客様と一緒に最適な研磨材選びをコンサルタント致します。お客様のイメージにあった加工をテスト段階で明確にして、研磨材をお選びいただけます。

研磨材の種類1:非金属系

非金属系として挙げられるのが

• ガラス
• 炭化ケイ素
• セラミックス

です。金属程ではないものの、ある程度の硬さをもっているのが特徴の研磨材です。金属系研磨材で下地を整えて、非金属系で仕上げというケースもあります。

ガラスのサンドアートなどには、炭化ケイ素などが適していますし、梨地加工やシボ加工などの美装加工(最終仕上げ)にはセラミック系の研磨材が使われています。製品によっては、金属系研磨材のように「バリ取り」や「スケール落とし」のような加工にも使われることもあるのです。

非金属系研磨材は金属系に比べて種類が少ないです。非金属の場合、加工中に発生する塵などが金属系に比べて健康被害を及ぼす可能性が高くなります。種類が少ないというのは、それだけ認可されていない素材があるためです。

弊社では「じん肺防止」のために、作業管理者には資格を取得しているプロしか従事させておりません。スタッフの安全を守るためにも、リスク回避のためにも有資格者による作業管理を徹底しておりますのでご安心ください。

研磨材の種類1:その他

金属でもなく、非金属でもない研磨材として「樹脂」や「植物種子」を使ったサンドブラストも行なっております。樹脂では『ナイロン』や『プラスチック』といった研磨材の選択も可能です。

摩耗性と弾力性に優れた樹脂系は「バリ取り」や「汚れ落とし」などに使用します。製品に傷がつきにくいといったメリットがあります。

植物種子系の研磨材としては「クルミ」や「アンズの種」といったある程度の硬さをもった材質です。金型の洗浄などにも使われており、製品へのダメージが少ないことも特徴です。

サンドブラストで加工される製品はジーンズからオイルタンカーまである!

近年では、コンピューターに使用する回路やIC、電子・電気などの部品、配線加工にも使われる凡庸性の高い技術です。

工業系以外にも鋳物や陶磁器、ガラス工芸品に石材の表面処理にも使われます。元々は船舶のバランスを整えるバラストの防錆処理などに使われていました。バラストとは、船の底にある空洞で、海水を貯めて船のバランスを取るタンクのことです。

そのほかにも、海上にある石油開発のプラットホームの加工にもブラストが使われています。加工する製品によっては人間の「命」を支えている技術でもあるのです。

最近では、ジーンズにサンドブラスト技術を使っているところもあります。ダメージジーンズのような、模様からショップのロゴなど、ファッション業界からも注目されている工業技術がブラストなのです。研磨材の種類が増えたことで多くの産業でブラスト技術が利用されています。
現在、研磨材は400種を超え様々な製品対応や加工技術の進化をとげています。

サンドブラストの効果とは?

ブラスト加工後に期待される効果。それは「強度」と「美しさ」です。

サンドブラストの効果1:強度

ブラストの主な加工の効果は「削り取る」という意味では「マイナス」です。しかし、どれだけ特殊な加工を重ねても「下地」が緩ければ、加工による強度アップ効果は半減します。

ブラストの削り取るという「マイナス」は後から行なう「加工」というプラス効果を最大限に引き出すための技術なのです。

良い例が輸送用の巨大タンカーです。タンカーには何千トンという重さに浮力やバランスが勝っていなければなりません。その浮力やバランスを司っているのが「バラスト」と呼ばれる船底の機関です。

バラストに海水を貯め、船の浮力やバランスを維持しているのです。タンカーは航行ごとにバラスト内部の錆の状態を確認しなければなりません。錆は金属を腐食させます。

バラスト内部を強化するためには、この厄介な「錆」を除去しなければならないのです。サンドブラストでバラスト内部の錆を除去し、防錆塗装がしっかりと塗れる状態にする。サンドブラストという「マイナス」の技術が、最大限の「プラス」を生み出しているのです。

サンドブラストの効果2:美しさ

外から見る美しさという面もありますが、塗装スタッフが仕事をしやすくするための美しさも得られます。どんなに腕の良い塗装工であっても、汚れている下地では完璧な仕事は難しいでしょう。

サンドブラストで製品の下地を美しくする。塗料を塗りやすくしたり、発色をさらに引きだたせるのもサンドブラストの仕事です。製品によっては最終仕上げまで行なうことも可能です。
弊社は塗装技能士資格をもったスタッフも在籍しています。プロのブラストとプロの塗装。熟練した匠たちが、お客様からお預かりした大切な製品の美しさを実現します。

サンドブラスト未加工の場合に起こり得ること

ブラストをもし行なわない場合、どのようなことが起こるのでしょうか。先ほども少し例にしましたが、巨大タンカーのバラストをブラストしない場合で考えてみましょう。

大量の海水が貯まったまま、何か月も航行するタンカー。錆落としを行なわないせいで、バラスト内部が腐食して浸水。船のバランスが崩れて沈没事故も起こり得るでしょう。

サンドブラストは多くの命を支えている

元々ブラストはノルウェーで研鑽されてきた技術です。ノルウェーの石油発見により、開発プラットフォーム(石油開発施設)や輸送用タンカーの需要が急激にアップしました。

当時は現在ほどブラスト技術が浸透しておらず、海上を主戦場とする石油開発には「錆」という大敵がいたのです。石油を採掘して陸地に運ぼうとしても、錆による腐食で多くのタンカーが海難事故に逢っていました。

石油開発のプラットフォームも、長期間海上でさらされることで、足場が腐食してしまい、プラットフォームそのものが「崩壊」するなどの大惨事が発生していたのです。海洋構造物や船舶の事故で多くの人命が失われました。

そこで、ノルウェーの船舶業界などが中心となって『Professional Council for Education and Certification of Inspectors for Surface Treatment(表面処理検査官の教育と認定に関わる専門評議会)』が設立されました。人命を預かる船舶や海洋構造物に施す塗装の検査員を認定する機関として立ち上げられたのです。

認定基準であるFROSIO資格はかなり厳しく、欧州を中心に確固たる地位を築きあげてきました。弊社ではこのFROSIO資格の最上位である『FROSIO III』を所持しているスタッフがいます。お客様の製品に最適なブラスト加工と塗装検査を行なえるOkagaki。

お客様の安心と安全をお約束します。

身近な製品にもサンドブラストが施されている

中古オートバイのフレームではどうでしょう。本来であれば塗装前にブラストを行ない、錆防止加工などを施してから塗装を行ないます。ブラストをせずに、手作業で錆落としを行なったとしても、表面の凹凸が均一ではなくなってしまい、どれだけ上手な塗装工だとしても完璧な仕事はできません。

このように、タンカーや海洋構造物といった大型なものから、オートバイのフレームのような私たちの身近にあるものまで、多くの製品の「強さ」と「美しさ」を提供できるのが『サンドブラスト』なのです!

サンドブラストが強度と美しさをお約束します!

弊社では、テストブラストの段階から国際検査資格FROSIO IIIを所持しているスタッフ立ち合いのもと、お客様の製品に最適なブラスト処理を提案いたします。

まずはご連絡ください。ブラストの「強さ」と「美しさ」をお約束します!